時効の援用に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
- 消滅時効完成後に主たる債務者が時効の利益を放棄した場合であっても、保証人は時効を援用することができる。
- 後順位抵当権者は、先順位抵当権の被担保債権の消滅時効を援用することができる。 ✓
- 詐害行為の受益者は、債権者から詐害行為取消権を行使されている場合、当該債権者の有する被保全債権について、消滅時効を援用することができる。
- 債務者が時効の完成の事実を知らずに債務の承認をした場合、その後、債務者はその完成した消滅時効を援用することはできない。
⚠ 法改正により内容が変更されています 【判例→条文】判例(最判平成10年6月22日(詐害行為の受益者)・最判平成11年10月21日(後順位抵当権者)等)→ 条文(民法第145条(括弧書))。令和2年4月1日施行の改正民法により、出題当時は判例法理であった内容が条文になった。結論は変わらないが、根拠が異なる。消滅時効の援用権者は「保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者」と明文化された。
解説
正解は2(誤っているもの)。後順位抵当権者は、先順位抵当権が消滅すれば自己の順位が上昇するという利益を有するにすぎず、これは反射的利益にとどまるため、「権利の消滅について正当な利益を有する者」には該当せず、先順位抵当権の被担保債権の消滅時効を援用することはできない、というのが判例である。肢1:時効利益の放棄の効果は相対的であり、主債務者の放棄は保証人には及ばず、保証人は独自に時効を援用できる(正しい)。肢3:詐害行為の受益者は、取消権を行使されている債権者の被保全債権について、正当な利益を有する者として消滅時効を援用できる(正しい)。肢4:時効完成の事実を知らずに債務を承認した場合でも、その後は信義則上、援用権を喪失する(正しい)。
(法令基準日: 平成30年4月1日)
- 民法第145条(時効の援用)
- 判例(後順位抵当権者の援用権否定、詐害行為受益者の援用権肯定、承認による援用権喪失)
- 本問は各選択肢が独立した記述であり共通の事例設定がないため、肢別分解せず1レコードにまとめて保存した。外部情報源(e-takken.tv)との突き合わせにより正解番号を確認した。
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